トルソがそれだけで完全作品になるためには、よほどの力量、というより作者の内面的充実がいる。単純に見えるから、そこに無量のものを満たすのが難しいのである。古代作品にはこれがあった。-作者-
私がいる家のすぐ後ろの丘の上のサン・ミシェル寺の鐘がなる。夕べの祈りの鐘である。ここの山狭の高みにあるアヌンシアータ修道院の神父が私に言ったことがある。「私は40年この山から一歩も下に降りないで、毎日海の潮を見ていました……」-作者-
高橋元吉は私の一生の友だった。
生き方も歩き方も二人はずいぶんちがっていた。しかし、自我の内部が命令するもの、精神の秩序、この点で二人は全く一つであった。-作者-
「主よ、日は傾き夕暮が追ってきましたから。どうか私たちと共にいてください……」「ルカ伝」の中の、イエスが復活して弟子たちのところに現れ、食事を共にした折の弟子たちの言葉である。